商品の流通形態にはさまざまなケースがあるにもかかわらず、内外権利者の同一性要件について同一とされる範囲が明示されているわけではありません。日本の商標権者と外国の商標権者が全く同一であるという場合はもちろん問題ありませんが、異なっていても外国の商標権者の承諾を得た上で他社が日本での商標権を取得した場合、あるいは外国の商標権者が登録した商標権を日本において他社が譲り受けた場合などについて、内外権利者は同一であると判じた裁判があります。このような裁判例を踏まえると、今回警告メールを発信した日本代理店が海外権利者からの許諾を得て日本での商標権者となっており、貴社が仕入れている米国正規代理店商品の商標も同じ海外権利者によって付されている場合には、貴社の取扱商品において内外権利者の同一性が認められる可能性は高いでしょう。
ただし商標権を侵害していると警告を受けたときに、その根拠について憶測による判断は危険です。まずは相手方に具体的な侵害の根拠を確認し、その是非については弁護士など専門家にご相談することをおすすめします。
※商標のもつその出所を表示する機能や、品質を保証する機能などが害されないために、
(1)輸入商品の真正商品性
(2)内外権利者の同一性(海外と日本で商標の出所は同一視できるということ)
(3)品質の実質的同一性(同一の商標の付された商品等は同一の品質であるという期待を違えないこと)
が商標権において並行輸入が許される具体的要件として裁判で示されている。
(更新日:2017年8月4日)