「メゾン・エ・オブジェ」が、2007年1月にフランス・パリ郊外の見本市会場で開催された。毎年、8万人近いバイヤーを集め、わが国インテリア業界注目の国際見本市だが、展示主催者は会期中、日本人バイヤー向けに2日間に分けて会場視察ガイダンスを実施し、ミプロがこれを後援した。以下は、現地ガイダンスのなかでプレゼンを行った本会職員による報告である。
| 日程 | 2007年1月26日~1月30日 |
|---|---|
| 会場 | パリ郊外シャルルドゴール空港南に位置するノール見本市会場で開催。展示会場面積は26万平米と東京ドームの6倍。3つのコンセプト別展示と6つのカテゴリー別展示から構成。 |
| 展示者数 | 2845社(2006年1月実績)、うち外国企業の出展は、990社と全体の3割。出展審査があり、新規出展はウェーティング状態。最近は、日本からの出展者も40社・団体と増えている。 |
| 特徴 | 1月と9月の年2回開催。インテリア関係の総合国際見本市で、トレンド発信も行われるため、小売・卸売り関係者のみならず、デザイナーやクリエーターの関心も高い。 |
| 来場者数 | 76249人(2006年1月実績)。うち外国人バイヤーは26687人と3割。06年1月から「プラネット・ムーブル・パリ」が同時開催され、シナジー効果から、1月展の来場者が増加傾向。 |

「メゾン・エ・オブジェ」が開かれるパリ・ノール見本市会場(Villepinte)は26万m²と東京ドームの6倍の広さを誇っている。「メゾン・エ・オブジェ」は、「インテリア・シーン」「メゾン・エ・オブジェ・エディトゥール」「now!」の3つのコンセプト別展示ゾーンと6つのカテゴリー別の展示ゾーンから構成されている。このうち、「インテリア・シーン」(5号館ホールB)は「メゾン・エ・オブジェ」のなかでも看板的な存在で、ここは、「ホール・オブ・フェーム(名声高きホール)」といわれ、厳しい出展審査をパスしたイタリアのミッソーニ・ホームをはじめ約100社が出展している。日本からは、中小企業庁「JAPANブランド育成支援事業」を受けて、今年は山形工房、会津BITOWA、京都プレミアムの3グループが出展した。
「メゾン・エ・オブジェ・エディトゥール」(5号館ホールB)は1月のみ開催されるもので、世界中のトップテキスタイルのエディターが集結する。全体のセノグラフィーをピエール・イブ・ロションが担当しており、5号館のホールAから踏み込むと、展示場全体のハイ・クオリィテイな雰囲気に圧倒される。日本からは京都の川島織物、インテリアの専門商社であるサンゲツが出展していた。「now!」は住まいにおけるデザインをテーマに展示しており、デザイン重視のバイヤー必見のゾーンである。前回までの5号館ホールBが手狭になったため、今年から新設された7号館に会場が移った。ここにはフランスのMARIANNE GUEDIN(ホーム・アクセサリ)ら160社が出展、「メゾン・エ・オブジェ」のなかでも、コンテンポラリーなオブジェ、照明器具、最新家電などのインダストリアル・デザインなどが出展されている。代表的なところでは、スペインのNANI MARQUINA(カーペットや壁紙)が相変わらず斬新な演出を行っていたほか、フランスのCINNA(ソファ、照明器具)、HABITAT(家具、テキスタイル)が、新規に出展した。日本からは、JETROが、2005年9月展でのユニバーサル・デザイン展に引き続き、2度目の参加をした。

今年の「now!」を総括すると、2つの特徴があげられる。ひとつは、カラー・コーディネートで、モノトーンのなかにもゴールドやシルバーをあしらった展示物が多い。この点は、英国を席巻している「NO-FRILLS CHIC」ブームに通じるものがある。もうひとつの特徴は使用する素材。環境に配慮した再生素材やナチュラルな素材を使うことで、「癒し」を演出したものが増えている。これら3つのコンセプト別展示ゾーンに加えて、1号館から6号館までテキスタイルやインテリア雑貨などカテゴリー別の展示が行われている。このうち、いわゆる雑貨・小物の買付けであれば、4号館から6号館も見逃せない。例えば、オランダのSAMION COLLECTION BY VIVIDは、ガーデン・インスピレーションで造花やアクセサリーを展示し、バイヤーの人気を集めていた。また、4号館に出展しているフランスのMOISSONNIERは、伝統家具にコンテンポラリーなファブリックをあしらうなど、奇抜な演出を行っている。

「メゾン・エ・オブジェ」に併設して同時に開催された「プラネット・ムーブル・パリ」は、昨年からパリ郊外のル・ブルジュ見本市会場で始まった展示会で、「プラネット・リビング(現代風)」(4/5号館)、「プラネット・アトモスフェール(カントリー風、エスニック風)」(2号館)、「プラネット・エポック(伝統・懐古風)」(2号館)の3つのセクターから構成されている。
「プラネット・ムーブル・パリ」のバイヤーは、明らかに「メゾン・エ・オブジェ」のバイヤーとは異なり、家具の流通業者、ホテルやオフィスの内装業者が中心である。このため、イタリアのCALLIGARISはインテリアの小物などを扱う出展者でもあるが、従来の「メゾン・エ・オブジェ」に加えて、今年から「プラネット・ムーブル・パリ」にもダイニング・テーブルや椅子などの家具を出展しはじめた。またベルギーのクリスタル製品を扱うSEMPREも、「プラネット・ムーブル・パリ」にCLEYBERGHコレクションを出展していた。家具部門での今年のトレンドのひとつは、一見アウトドア用の家具をインドアでも使えるようにアレンジしている点である。インテリアとエクステリアをミックスした、あるいは両者のボーダーを取り除いた「アウトドア・インドア」は「メゾン・エ・オブジェ」の4号館や5号館の「コテ・デコ」でもみられたが、こうした家具は室内にも空間的な開放感をもたらしており、内外のバイヤーの注目を浴びていた。

「メゾン・エ・オブジェ」および「プラネット・ムーブル・パリ」には会期中に8万人近い来場者が訪れる。ピーク時になると会場は大都会の雑踏のように来場者でごったがえす。初日には、フランスの中小企業大臣らVIPも訪れた。会場に向かうには、シャルル・ドゴール空港と展示会場、展示会場とパリ市内(ポルト・マイヨー駅)を結ぶ無料の専用シャトルバスを利用するのが便利。ポルト・マイヨー駅から会場までは、朝8時からシャトルが10~15分間隔で運行している。会場エントランスで入場登録をするが、ウェッブ上で事前登録しておくと、入場パスをピックアップするだけで済むので、こちらを薦めたい。東京ドームの6倍の広さを誇る展示会場を、短時間で効率よく見て回るには工夫が必要である。今回、フランス見本市協会は、2日間に分けて、日本人バイヤーを対象に、現地会場ガイダンスを行った。初日は、展示主催者(SAFI)による通訳付の全会場の案内、2日目は、ゼロ・ファースト・デザインの佐戸川清・代表が主な見所を案内するもので、百貨店のバイヤー、家具輸入業者、専門商社、インテリア専門店、デザイナー、新聞・雑誌記者など60名以上が参加した。展示会の公式カタログおよびクラブ・ラウンジへのパス(両見本市会場全日パスを兼ねる)が、現地ガイダンス参加者全員に配られた。両会場にあるラウンジでは、無料のスナックやドリンクをとりながらくつろいで商談ができる。
「メゾン・エ・オブジェ」は、もともとインテリアのショップや卸売業者向けであるため、小口の商談にものってくれる。バイヤーは出展物について、価格・数量・納期・支払い条件についてのやりとりを出展者と行い、出展者はあらかじめ用意している注文請負書(Sales Note)にその合意内容を書き込んでくれる。これに両者がサインして、バイヤーはその写しを受け取るだけでよい。もちろん、石鹸、コスメティックなどは薬事法関連の輸入認可が必要となるので、場合によっては、輸入代行業者に依頼しておく方法もある。次回の「メゾン・エ・オブジェ」は、2007年9月7日から11日である。
(ミプロ業務部次長 木村 誠)
(注)写真はジェトロ・パリセンター提供