外国企業にとっては、進出にあたり、どのようなビジネスチャンスが地域に存在しているのかについて明確なビジョンが描けるかどうかが、立地の決め手になるであろう。いきなり大規模な投資を行うにはリスクが伴う。また、今後、アジア諸国からの投資が増加してくると、投資元企業も中小・中堅規模が多くなり、リスクへの一層注意深い対応が予想されるところである。であればこそ、外国企業とすれば、まずその地域における産業界との協力、いわば相手地域とのビジネス交流から歩を進めようとするのではないだろうか。
例えば、当協会(ミプロ)がかかわった石川県へのインダストリアルツアーの際、外資系企業などの参加者の中からは、地域の経済や社会が多彩で奥行きがあることはもとより、ハイテク企業の存在など産業集積の厚み、学術・研究集積のレベルの高さ等については、現場に来るまで知らなかったという声が多く聞こえた。金沢に発祥し、ナショナルブランドになったアイ・オー・データ機器のように、アジア各国との活発なビジネス交流を活動のベースにしている企業、また、NASAやボーイング等から高度技術製品を受注している企業など、地域には、ものづくりを支え、キラリと光るものを持つ中小・中堅企業がたくさんある。
こうした地域の産業の実力が知られるようになれば、技術に自信のある外国企業の中には、わが国の地域に展開する高度技術企業との連携(技術提携、OEM供給契約、共同開発等)から日本進出の一歩を進めていくケースも多いのではないか。
さらに、中小企業基盤整備機構(中小機構)や自治体が各地に設置しているインキュベーション施設や各大学の研究交流施設などに入居し、技術シーズをビジネスに仕上げていくのも有効な方法となるだろう。その意味で注目されるのは、新産業の創出や中小企業等の産業支援のために自治体等により設置された地域プラットフォームの役割である。これらの組織は、下請け受注確保や中小企業の経営指導、企業立地やインキュベーション施設の運営等、多彩な活動を行っているところが多い。
このような外国企業と地域の企業とのビジネス交流、産業協力が進んでいけば、販社の設立や生産拠点の設置、あるいは合弁事業やM&Aといった投資段階への深化が期待できるのではないか。およそ、このような問題意識から当協会では、「対日アクセス支援」と「対日投資支援」とを融合し、相互に連携させる「対日ビジネス交流支援事業」への取り組みを進めている(図参照)。

対日アクセスの改善が外国とわが国とのビジネス交流を拡大させ、その交流が対日投資を呼び込む。つまり、対日アクセスの延長線上に対日投資がある、という考え方である。
事業のターゲットを「二次投資を中心とした外資の地域への誘導」に置き、当協会が過去30年にわたり培ってきた対日アクセスを中心とする内外ネットワークを活用し、駐日外国公館、外国州政府事務所、外資系企業団体、各市場協議会、貿易投資関係機関等との協力関係を構築するとともに、地方自治体との情報共有の場である対日投資フォーラムを開催している。外資系企業や外国公館、連絡事務所等から参加者を得て、地域へのインダストリアルツアーやセミナーも開催している。昨年、シンガポールのスパ企業を石川県の温泉地に案内し、観光を中心とした地域活性化のセミナーを催したが、温泉再生をめざす地元の熱い感心を集めた。また、本年10月初めには交流協会と合同で、台湾でのIT関連企業誘致セミナーも開催したところである。こうした地道な活動を通じ、対日投資の拡大に向けた努力の一翼を担うべく日々精進している。
本稿は「日本貿易会月報2007年10月号 No.652」に寄稿したものを一部転載したものです。全文は下記をご参照ください。