対日投資について

地域活性化としてのアジアンSPAの活用

国際スパ協会本部理事及びアジア太平洋州地区代表・シンガポールスパ協会会長
ピーター・スン氏

水や地域資源を活用して心身の健康維持を図るSPAに近年注目が集まっており、SPAが集積するシンガポール、タイ、インドネシアなどアジア各国には、日本を始め各国の旅行客が多く訪れている。わが国でも、外資系ラグジュアリーホテルを中心に、宿泊客やユーザー誘致のため高品質のSPAの導入が行われており、また外国ブランドのデイSPAの立ち上げも始まっている。そこで、ミプロでは、地域の観光産業関係者(ホテル、リゾート、旅館業者、旅行業者、デベロッパー等)や美容関係・健康・医療関連企業等向けに、シンガポール、タイ、インドネシアなどアジア各国の最新SPAビジネス・モデルを紹介するとともに、その導入に向けての専門的なコンサルティング活動を通じて、地域の再生・活性化を支援している。この一環で、2008年2月には、グレーター・ナゴヤ・イニシアティブ協議会(GNIC)、日本アセアンセンター、日本貿易振興機構(JETRO)岐阜貿易情報センターと共催し、同時に、駐日シンガポール共和国大使館商務部、タイ王国大使館商務部の後援を得て、「アジアSPAセミナー&コンサルティング・個別面談会」を岐阜市内で開催した。当日は、80名を越えるホテル・旅館関係者が集まり、シンガポール、タイからの招聘者、国内の外資系SPA企業がプレゼンテーションを行うなど、盛況であった。

以下は、国際スパ協会本部理事及びアジア太平洋州地区代表、シンガポールスパ協会会長であるピーター・スン氏がセミナーの中で行った基調講演の概要である。

ピーター・スン会長の基調講演(岐阜市内)

国際スパ協会(International Spa Association: ISPA)およびシンガポールスパ協会での経験をお話しする前に、まず、今回のセミナーを主催していただきましたグレーター・ナゴヤ・イニシアティブ協議会、日本アセアンセンター、ミプロ、そしてジェトロの皆さまに感謝申し上げます。このようなセミナーを開催いただきまして誠にありがとうございました。

今回、岐阜に入る前、名古屋で経済産業省中部経済産業局の大辻義弘局長にお会いしました。そのとき大辻局長に「あなたはスパのキングである」と言われましたが、実はそんなことはありません。私は普通のサラリーマンです。ただ、スパ業界においていい経験をさせていただいております。

私は愛をもって接しているものが二つございます。一つがもちろん家族で、二つ目がこのスパ協会です。1980年代からスパの業界に従事しておりますが、当時スパはまだ汚いものというイメージがつきまとっていた非常に難しい時代でした。何か違法なもの、奥さんに隠れて行かなければいけないところというようなイメージもありました。

スパは知能、体、精神を再生

スパについてはさまざまな定義があります。10人の方にスパとは何かと聞けば恐らく10通りの定義が返ってくると思います。非常に複雑なものともなります。そこでこれをはっきりさせておきましょう。国際スパ協会による「スパ」という言葉の定義では、「スパは知能、体、精神の再生を促進するためのさまざまな専門的なサービスを利用して総合的に心身の調和を図ることに貢献する施設である」(Spas are entities devoted to enhancing overall wellbeing through a variety of professional services that encourage the renewal of mind, body and sprit.)というものです。これは本当にいい定義だと思います。

私はこのように解釈します。誰がスパに行っても決して無駄なお金を払ったという思いはしません。例えば、私がこれから老後を過ごすに当たり自分の体と健康への最適な投資であると考えます。自分の体の中にある血液の流れや血糖値を改善し、ストレスといったものを解消します。ストレスを解消することによって若さを保つことができます。
スパという言葉はなじみがあるものかと思いますが、語源はローマ時代のローマンバスに発しています。スパに入り、水に癒されるというものが主です。その後、進化を続けて、欧州などでは健康保険の対象になり、戦争などによって傷ついた兵士を癒す場所として、また高齢者がリューマチなどの症状を緩和するために使用されました。こういった健康保険からこのスパが対象外になったとき、スパに対する需要が非常に落ち込み、鉱泉、温泉などを訪ねる客数が激減しました。

セラピストによるデモンストレーション(セミナー会場内)

そこで1990年代に入りスパという言葉にまた新たなニュアンスが登場しました。ここに「癒し」や「もてなし」という意味合いが入りました。リラックスする場所、生まれ変わるための場所、休憩する場所です。こういったことでより魅力的なものへと変わっていきます。
現在、スパというのは一種のライフスタイルともいえます。スパはその体験、それ自体ともいえます。スパというのは、心と心を通じ合わせる産業だと私は考えています。そして地域の方々との連携が不可欠な産業だと考えています。GNI地域の一例として、下呂温泉を挙げさせていただきます。スパの事業は地元の人々みんなをうまくまとめて勧誘して発展していくものです。スパとは体験です。

日本はこれから海外から旅行客をどんどん迎え、国内の観光をより活性化していくに当たり、スパには素晴らしい可能性が秘められています。統計のデータなどももちろんございますが、今この時期に本当に、地元がスパのデスティネーションになり、スパという環境を整え、日本的なスパを展開するための絶好のチャンスだと思っています。そして、日本がスパの中心地になると思います。

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