対日投資について

台湾企業の対日投資成功事例と地方への投資促進に対する提言

地方自治体の受入態勢が台湾企業の投資意欲を左右する

地方自治体として、台湾企業をサポートし対日投資誘致促進を有効に行うために必要なプロセスや条件として下記が挙げられよう。

また上記とは別の観点ではあるが、観光客誘致と企業誘致のリンケージにより、まずは台湾と特定地域との人的交流を図りながら、事業投資に繋げていくという方法も考えられる(*11)。こういった場合の誘致戦略としては、下記の流れが有効であろう。

1.地域のブランド・ポジショニングと台湾側ニーズとの摺り合わせ
2.観光資源と地場産業とのリンケージおよび 産業交流の可能性模索
3.特定地域への投資メリットのアピールと誘致インセンティブの明確化
4.外資系企業誘致に関するインフラ整備と外国人受け入れ態勢の充実
5.台湾企業の対日投資促進に繋がる継続的PRの重要性

3.については、拠点を作りたいというニーズはあるが、台湾企業はまず優遇策の有無を重要視する。台湾企業に投資をして欲しいのであれば、主体となる地方自治体等がまず、どういう優遇政策があるかを先に提案するのが大事であるとの意見が多くの台湾企業から出された。韓国、中国企業と比べて台湾企業は日本への投資の心理的障壁が高い(*12)。台湾側の対日投資の障壁の高さをどこで補うかが重要となる。コストパフォーマンスで補うのか、相互交流の中での信頼関係で埋めるのか、日本の場合は圧倒的に後者に徹底して台湾企業とお付き合いする方が成功する可能性が高い。

5.については、台湾の行政関係者や台湾企業から、地方への投資誘致をしたいという強いニーズがあるのであれば、継続的に台湾の関係者にPRをする必要がある点を強く指摘された。台湾企業は取引でも投資でも信頼関係を重視する。そのため、自治体関係者が直接台湾へ出向いて行う誘致ミッション以上に投資誘致に有効な方法はなく、まずは台湾での情報収集、台湾観光客のニーズ把握も兼ねて、投資誘致PRを定期的に行っていくことが重要である。

最後は受け入れ側である自治体関係者の強い熱意が、台湾企業の対日投資を強く後押しすることになろう。

台湾企業の地方への対日投資ニーズを探る

台湾企業の対日投資ニーズとしては、グリーンフィールド投資は極めて少なく(*13)、日本への市場アクセス確保に加えて、今後中国他アジアの競合とのグローバル競争に伍していくための自社の技術力増強が主たる目的である。そのため、後継者難・資金難に悩む中小企業への投資や地方の特定産業集積地に立地することによる地場有力ベンチャーとの連携が、地方への台湾企業誘致に有効であると考える。

また近年、中国大陸や ASEANへの製造業投資においては、台湾企業は水平分業を行っている関連企業とともに集団で出ていく、または呼び寄せる形で台湾企業の集積を作る傾向がある。例えば、日本の市町村単位でそういった台湾企業のクラスター造成に関心を持つ場所があれば、その一定エリア内に投資を行う台湾企業群に対して何らかのインセンティブを与えることが、台湾企業呼び寄せに有効なツールとなろう。

また、地方においても、現在対日M&A投資を行う外国企業が、一般的にその高い生産性と収益性を背景として、積極的に売上高拡大と設備投資を行っており、その経済行動が地方活性化を誘引しているケースも多くなってきている。台湾企業に対しては、労働集約的な場所に投資プレゼンスを持つようなグリーンフィールド投資を呼び込むよりも、むしろ日本の技術を高く評価し、後継者難にも対応可能な日本技術ベンチャー救済型M&Aが台湾企業にもたらすメリットをより強くアピールすることにより、日台中小企業のWinWinの関係がより一層強く形作られることが期待できよう。

※この記事は財団法人交流協会発行の「交流」2008.3.31No794より転載いたしました。

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