小口輸入の場合、その容易さから、インターネットのショッピングサイトやオークションサイトで商品を購入する方が多いようです。この場合、売り手の販売条件等が明示され、交渉することは余りないと思いますがメールだけの事務的なやり取りでは、不測なことがあった場合の対処が不明瞭であるおそれがあります。そのため、商品の欠陥・不具合(傷がある、商品違い・不揃い等)、納期の遅れ等に関わる事項のほか、修理や返品・返金等に関わる事項についての記述を熟読、理解しておくことが必要です。
また、輸出取引に対応できるか、特に商品価格が現地の付加価値税ないし消費税が免除された金額になるか等も確認してください。
海外との取引は売買当事者双方の責任においてなされるものです。ここでは、まず商談・発注段階での留意事項をご紹介します。
海外の展示会やショップでは、取引量に応じたプライスリストが用意されていることが多く、取引交渉はもっぱら納期、輸送関連の経費負担(梱包形態・輸送手段・保険等)、支払の方法と時期になることが多いようです。参考までに、輸入申告時に必要とされる事項を紹介しますので、商品選定や取引交渉時の基本事項として留意されると良いでしょう。
*荷姿:荷物が輸送される際の梱包や外観のこと。運ぶものの性質、輸送手段、コスト等により、適した材質、方法を選択する。
取引契約書には、何らかのトラブルや不測の事態を想定し、たとえばIncoterms(インコタームズ)を決める等により、輸出入者双方の責任範囲と対応(輸送経費負担や荷物の損害負担の範囲)を明文化することをお勧めします。取引交渉時の記録、契約書等があれば、トラブルの早期解決にもつながります。口頭だけの合意や記憶では双方の認識の違いもあり、クレーム申立てや対応要求がより難しくなります。
売り手を評価する材料として、商品説明(特徴・セールスポイント等)、商品によっては日本で販売するための製造に関わる必要情報の提供、売買契約後の発送関連の連絡、トラブル対応等があるでしょう。他方、あなたが売り手から信頼を得るために、何ができるかも考えてみてください。例えば、あなたのビジネスプランの進捗状況、販売実績、お客様の反響フィードバック、日本市場(競合品、売れ筋商品等)の動向報告等、日本から提供できる情報もあるでしょう。継続取引を通じた“イーブン・パートナー”としての信頼関係で、全額前払いから発注時・発送時・納品時等の分割払いが受け入れてもらえるかもしれません。
次に、輸入取引が決まる、あるいは決まりつつある段階で調べたり、手配しなければならない事柄をみてみましょう。
商品や数量(容積)が決まり、メーカーないしサプライヤーから初めて直接買い付け、輸入する場合、輸送方法は大きく二つに分かれます。
国際郵便や国際宅配便(door to door 輸送)により小量・少額の荷物を運ぶ場合は、輸入時の法規制がかからないものであれば、輸送業者が通関手続きを行って荷物を配達するため、さほど通関の知識は要らないでしょう。
一方、海上・航空貨物(港to港 輸送)を利用する場合は、通関の際、国際輸送の流れや、必要書類等の知識が必要とされるため、現地での集荷から輸送、国際輸送、輸入地(日本)での通関から国内配送まで一括依頼できる業者(国際物流業者、輸入代行業者等)を日本国内で探すと良いでしょう。
ただし、この委託業者に全てを任せるのではなく、委託業者に十分な取引情報を提供し、協力することが、スムーズな通関につながります。
食品(食品衛生法の適用)、化粧品(医薬品医療機器等法の適用)、電気用品(電気用品安全法の適用)等の場合、国内法規の手続きや検査のために、サンプルと原材料・成分・材質、構造、製造方法、性能等の情報が必要とされます。海外のメーカーないしサプライヤーに対し、これらの情報が日本の国内法規上必要なことを説明し、情報提供を受けなければなりません。情報入手にあたっては、秘密保持契約書の作成・締結が必要とされることもあるでしょう。
また、国内販売に際しては、加工食品、化粧品、衣料品等の場合、表示関連法規に基づく表示ラベルの作成・取り付けが必要とされます。海外での表示をそのまま使用することができないので、ラベルの作成・取り付け等の手配が必要です。さらに、商品によっては、取扱説明書の作成も必要となります。季節商品の場合は、納期遅れが商機を逸することにもなるので、販売準備作業を見込んだ納期設定も重要です。
自分で発掘した商品の代理店契約をしたいという方がいます。一般に、代理店契約は売り上げに対してバックマージン(コミッション)を受け取る形態で、販売店契約は日本国内での販売に全責任を負う形態です。いずれにしても、過去の取引ないし販売実績等がないと、この種の契約締結は難しいと思われます。売り手からミニマムの輸入量や販売方法等の条件が提示されたり、あるいは自分のビジネスプランとその実行を説得できる(信用される)具体的な手段・方法の提示が必要とされます。従って特定の商品にこだわらず、取扱商品を拡げることを優先する方が良い場合もあるでしょう。
(更新日:2024年11月20日)