mipro(ミプロ)一般財団法人対日貿易投資交流促進協会

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対日投資コラム

日本にある世界の機関を知る(3)-ルクセンブルク貿易投資事務所

ミプロ対日投資アドバイザー 根橋 玲子

世界の地域との国際アライアンスと地域振興に焦点を当て、日本企業と世界の企業とのビジネス交流を促進するため、日本における各国、地域の行政や業界団体等の取り組みをご紹介します。

組織概要

ルクセンブルク貿易投資事務所は、ルクセンブルク大公国経済省が管轄する在東京貿易投資事務所であり、欧州市場へのゲートウェイの役割を目指し、ルクセンブルクへの進出と事業展開の支援を行う政府機関である。同事務所では、ルクセンブルクへの日本企業の投資誘致とルクセンブルク製品の日本への紹介を行うほか、ルクセンブルク企業の日本進出も支援しており、双方向の投資を通じて、日本とルクセンブルク間の貿易投資の促進を行っている。また、日本企業の要望に応じて、ルクセンブルク本省だけでなく、中国、韓国、台湾、インド、米国(ニューヨーク、サンフランシスコ)、イスラエル、アラブ首長国連邦(UAE)といった、海外8拠点にあるルクセンブルク貿易投資事務所と連携を行いながら、日本企業の国際展開を支援している。

ルクセンブルクと日本の国交樹立90周年の節目である2017年に、日本の皇室との交流も深いルクセンブルク大公家が来日された。これを機に、日本商工会議所/東京商工会議所との経済交流、貿易投資交流促進の覚書も締結され、ルクセンブルク企業と日本企業とのさらなるパートナーシップが期待されている。

インタビュー

ルクセンブルク貿易投資事務所 エグゼクティブディレクター 松野 百合子氏

松野百合子氏は、ルクセンブルク貿易投資事務所の責任者であり、日本とルクセンブルク間の貿易投資交流促進活動を統括している。外資系広報代理店、米独合弁分析機器メーカーのマーケティングマネージャー等を経て、1996年に在日ルクセンブルク大使館に入所。 1999年からは経済・広報担当部長、2005年よりルクセンブルク経済省職員となり、エグゼクティブディレクターに着任、現在に至る。

問1:ルクセンブルク貿易投資事務所では、特に日本の地方自治体との関係においてどのような活動をしていますか?

ルクセンブルク貿易投資事務所では、日本企業とルクセンブルク企業の“One Stop Shop”の役割を目指している。例えば、日本企業に対し、ルクセンブルクで行われる新規投資プロジェクトやサービスに関する情報提供を行う一方で、ルクセンブルク企業から依頼され、日本市場の販路開拓支援などを行っている。また、同事務所では、日本人スタッフのコンサルティングにより、ルクセンブルクに投資を検討する日本企業への投資サポートや情報提供も行っており、ルクセンブルク本省から定期的に担当オフィサーが来日し、ルクセンブルク企業とのビジネスマッチングの場も提供している。

ルクセンブルクは、「欧州スタートアップのハブ」を目指しており、スタートアップやベンチャー支援体制も充実している。ルクセンブルク大公国経済省の傘下にある「ルクスイノベーション」には、スタートアップ支援や中小企業のビジネス促進の専門部署が置かれている。ルクスイノベーションでは、スタートアップ立ち上げとビジネス促進に重点を置いている。

ルクセンブルクにある10の産業クラスターである自動車、バイオ、ヘルス、ICT、環境イノベーション、宇宙、ロジスティクス、クリエイティブ産業、素材・製造、木材では、日本の地方自治体との連携により、ルクセンブルク企業と日本のハイテクベンチャーや地域の中小企業とのビジネスマッチングを期待している。

問2:対日投資については?

ルクセンブルク貿易投資事務所では、対日投資を行ったルクセンブルク企業へのビジネス支援も行っている。鉄鋼世界最大手のアルセロールミタルや、国際物流大手のカーゴルクスの他、センサーやバルブなどの産業用部品メーカーも日本に拠点を設立している。ルクセンブルクは、1970年代初頭までは鉄鋼業、金属関連産業が中心であったことから、自動車部品メーカーや医療機器部品メーカー等、日本市場に関心を示す製造業も多い。

一方で現在のルクセンブルクは、国家プロジェクトにより、欧州本社・事業拠点をルクセンブルクに置く、情報通信技術(ICT)、電子商取引の世界的企業が集積している。航空宇宙開発や素材工学、医療技術、環境技術等の新産業育成も行っていることから、「ICTSPRING / SPACE FORUM*1 」を開催し、「Pitch Your Startup*2 」等を通じて、日本を始めとして欧州を目指す世界の起業家にビジネス機会の提供を行っている。こうした国の経済振興にはギョーム皇太子を筆頭にロイヤルファミリーも積極的にかかわっている。

ルクセンブルク貿易投資事務所では、ルクセンブルク投資も対日投資も同様に支援を行っているが、双方向での投資が行われることで、多くのビジネスチャンスが創出できると考えている。そのため、ルクセンブルク企業への日本の投資環境に対する情報提供や、地域の企業との交流を深める様々なイベントも企画している。

*1 ICTSPRING / SPACE FORUM・・・ルクセンブルク最大規模のテック&宇宙イベント(72ヵ国から5000人が参加。)日本のベンチャーには特別優待価格での展示ブースを提供。経済省主催ルクセンブルク・エコシステムツアーも実施。
*2 Pitch Your Startup・・・賞金総額10万ユーロ(約1,260万円相当)のベンチャーピッチコンテスト。

問3:地方自治体の皆様へメッセージ

安定した政治体制と成熟した経済システムを有するルクセンブルクには、マルチリンガルや高技能人材へのアクセスが容易であることに加え、EU諸国へのアクセスの良さから、デュポンやAmazon等の世界の大手企業が、欧州本社や欧州事業拠点を置いています。また、ルクセンブルク大公国では、1社でも多くグローバルベンチャーを輩出すべく、国を挙げてアントレプレナー支援を行っています。ベンチャーファンドやフィンテックなど金融面での支援メニューも豊富であり、日本の技術ベンチャーや地域の中小企業がグローバル展開を行う際に、テストマーケティングを行う拠点としても適しています。

ルクセンブルク貿易投資事務所では、日本の各地域との双方向の産業クラスター交流等の実現に高い関心を持っており、地方自治体の方々とのさらなる交流や連携を期待しています。今後は、地方自治体の皆様と積極的に接点を持たせて頂き、相互の経済活動が活発化するような協働プロジェクトの提案をお待ちしています。

ルクセンブルク貿易投資事務所 エグゼクティブディレクター 松野 百合子氏

問4:担当者と連絡先

ルクセンブルク貿易投資事務所エグゼクティブディレクター松野百合子氏を代表として、セールス・マーケティングマネージャー中丸直哉氏がこの分野を担当している。

連絡先:
ルクセンブルク貿易投資事務所
住所:〒102-0081 東京都千代田区四番町8-9
   ルクセンブルクハウス1F 
電話:03(3265)9621
E-mail:tiotokyo@mae.etat.lu
URL:https://www.investinluxembourg.jp/ja/

以 上
2018年9月

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