mipro(ミプロ)一般財団法人対日貿易投資交流促進協会

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対日投資コラム

日本にある世界の機関を知る(7)-大韓貿易投資振興公社(KOTRA)

ミプロ対日投資アドバイザー 根橋 玲子

世界の国や地域との国際アライアンスと地域振興に焦点を当て、日本企業と外国企業とのビジネス交流を促進するため、日本における各国の政府機関や業界団体等の取り組みをご紹介します。

組織概要

 大韓貿易投資振興公社(KOTRA)は、1962年、韓国政府により貿易振興及び海外市場調査を目的として設立された独立行政法人である。投資(1995年)や人材交流(2009年)等、事業分野を拡大しながら、国内外の韓国企業に対して幅広い支援を展開、現在は84か国・129ヵ所に海外拠点「貿易館」を配置している。KOTRA日本地域本部は東京・大阪・名古屋・福岡の4ヵ所に貿易館を設置、両国の経済・人材交流拡大に取り組んでいる。また、韓国の科学技術情報 通信部(省)や中小ベンチャー企業振興公団と協力し、霞が関と御成門にビジネスインキュベーター施設も設置し、日本市場を目指す韓国ベンチャーの支援も行っている。

大韓貿易投資振興公社(KOTRA)
http://kotra.or.jp/kotra.html

インタビュー

大韓貿易投資振興公社(KOTRA)
日本地域本部長 兼 東京貿易館長 金三植氏

 ニューヨーク州立大学院(Stony Brook) テクノ経営学 修士修了。1992年大韓貿易投資振興公社(KOTRA) 入社後、シンガポール、北朝鮮、ポーランド、バングラデシュに駐在、本部では通商戦略チーム長、海外市場コンサルティングチーム長等を歴任する等、広く海外市場に精通している。2016年に名古屋貿易館長に就任、2022年から現職を務めており、日本市場や日本企業にも理解が深い。

問1:KOTRAでは、特に地方自治体との関係においてどのような活動をしていますか?

 KOTRA日本地域本部(以下KOTRA)は、(1)韓国企業の日本への輸出および進出の支援、(2)日本企業の対韓投資誘致、(3)日本の経済、産業および市場に関する調査、(4)韓国人材の日本での就職支援などの業務等を行っています。韓国から来日する貿易デリゲーションや韓国企業の日本各地での事業展開をサポートするなど、韓国企業向けに日本企業とのビジネス支援を行っており、自治体の皆様に対してさまざまな事業協力を仰いでいます。特に、輸出関連では、自治体や地域の産業振興センターなどと協力し、韓国企業と地域企業とのビジネスマッチング商談会も開催しています。
 また近年、各自治体では社会的課題解決のための実証実験・PoC(Proof of Concept)事業を行っており、こうした事業に韓国ICT企業やスタートアップ企業が参画できるような支援を行っています。韓国企業が強みとしているICTのDX技術等にPoC事業への需要があり、この分野を中心に韓国企業と地域企業とのマッチングを積極的に支援しています。日本への製品輸出に加えて、こうした地域の課題解決に活用できる技術力を持つ、韓国ICTベンチャーやDXベンチャーの日本進出を支援する目的で、霞が関ビルに「韓国IT支援センター」を設置し、現在20社近い韓国ICTスタートアップ企業が入居しています。
 またKOTRAでは、日本での就業を希望する韓国人材を支援するため、自治体の皆様との協力関係を基軸に、IT・技術人材、マーケティング・営業などのグローバル人材等、日本語検定の資格を持った韓国人材に対し、地域企業とのマッチング、就業支援業務も行っています。

問2:対日投資については?

 韓国の2023年海外直接投資総額は633.8億米ドル(前年比22.2%減少)で3年ぶりに減少し、また、同年の対日投資額は、海外直接投資総額の1.1%にあたる699百万米ドル(前年比39.3%減少)となりました。対日直接投資を業種別(金額ベース)にみると、金融および保険業の割合が最も多く、次に卸売および小売業(以下、情報通信業、不動産業、製造業が続く)となっていますが、その理由として、韓流が日本で一つの文化として定着していることが挙げられます。歴年推移を見ると、金融・保険業は縮小傾向ですが、製造業は過去3年間で投資金額が増加しており、これは韓日関係の改善によりサプライチェーンが強化された影響だと判断しています。
 一方で、2023年の対日投資件数(日本進出の新規法人数)は266社と、前年比68%増加しています。KOTRAでも日本への投資進出を検討する韓国企業からの問い合わせが増加しており、韓国企業が日本市場の魅力を再認識していることも理由の一つです。韓国企業が日本市場に魅力を感じる理由として、(1)堅固な内需市場の存在、(2)韓国製品・コンテンツに好意的な市場であること、(3)長期の低インフレ率による製造コスト低減の実現、(4)外国人起業促進事業の一環としてのスタートアップビザ取得の円滑さ等があります。特に、(4)のスタートアップビザ取得の容易さが、韓国企業に対日投資の魅力やメリットをより感じさせているようです。

[ 韓国の対日本直接投資金額の業種別金額(百万ドル)および割合(括弧内%)]

 KOTRAでは、対日投資を希望する韓国企業向けに、(1)日本現地法人設立、(2)日本企業の買収合併(M&A)の2種類の投資支援を行っています。(1)については、韓国の平均賃金が上昇する中、以前はあまりみられなかった生産拠点設立のニーズも生まれています。業種としては、食品、化粧品等の消費財分野から工作機械分野まで幅広く、例えば韓国の有名化粧品メーカーが日本で製品製造を行うための工場敷地を探していたり、大手食品メーカーが調味料工場設置のため敷地購入を行ったり、機械メーカーが日本での製造工場稼働に向けて準備をしていたり等、様々な韓国企業の拠点設立の動きに対し支援しています。
 また(2)について、KOTRAでは主に医療や金融等、日本での許認可取得が難しい分野を中心に支援を行っており、昨今の円安傾向により、韓国企業からの問い合わせが増えています。経営者の高齢化に伴い、技術力はあるが廃業せざるを得ない日本企業等、事業承継の目的で行うM&A支援は、大変重要な事業だと考えています。韓国側も少子高齢化が進み、同じく事業承継の課題に直面しており、逆に日本企業が韓国企業を買収する事例もあるようです。

問3:地方自治体の皆様へメッセージ

 韓日関係の改善を契機に、様々な分野での両国交流が活発化する中、KOTRAは主に経済交流分野で、その架け橋の役割を果たしています。韓日の交流・協力関係を、具体的な貿易・投資に繋げることが、KOTRAの任務です。KOTRAは、日本企業とのビジネス機会を発掘し、地域のニーズに対応できる韓国企業の情報提供を行うとともに、自治体の皆様の協力のもと、地域でのマッチング商談会や展示会参加、イベント開催を行います。韓国企業と日本企業とのビジネスは、双方ともに関心が高く要請も多いため、自治体の皆様から、地域企業の情報を共有頂きつつ、KOTRAからも韓国企業の情報提供を行っています。KOTRAでは、韓国企業と日本企業双方のビジネスマッチング事業を、今後も実施したいと考えています。
 また、「4次韓流ブーム」で韓国の最新トレンドへの関心が高まる中、KOTRAでは東京と埼玉で『2024 東京韓流博覧会(KBEE 2024、TOKYO)』(2024年10月11日~13日の3日間。22回目12年ぶりの開催。)を実施し、「韓国アーティストの公演と輸出マーケティング」を連携させた事業を開催します。「韓流博覧会」は、日本市場への進出に興味をもつ韓国企業 130社(化粧品、ファッション衣類、食品、生活用品、サービス など)が一堂に会し、韓国企業や製品に関心のある日本のバイヤーや消費者との交流を推進します。
KOTRAでは、韓日両国間の経済・産業分野での協力はもちろん、韓国人材の日本企業就職支援などの人的交流事業も行っています。地域企業様のグローバルビジネス推進やグローバル人材採用を支援する、多くの自治体の皆様と意見交換をさせて頂き、双方にとって実のある関係構築を希望しています。

問4:担当者と連絡先

KOTRA日本地域本部にご連絡いただければ、協力を希望する案件の地域および分野に応じて、東京、大阪、名古屋、福岡の4つのKOTRA貿易館の担当者が直接対応いたします。

KOTRA(大韓貿易投資振興公社) 日本地域本部
〒100-0005 東京都千代田区丸ノ内3-4-1 新国際ビル9F
電話:03-3214-6951 
FAX:03-3214-6950
http://kotra.or.jp/kotra.html(日本地域本部)
https://www.kotra.or.kr/index.do
E-mail:kotratky@kotra.or.jp

以 上
2024年10月

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